檜皮葺(ひわだぶき)

平成30年7月14日

歴史を一歩ずつ歩む中で、お祭り、人の考え、生き方、技法、技どれをとってもそれを伝え、譲ろうとする姿勢がないと継承されない。一度途切れると容易に再び取り組まれることなくやがて忘れ去られて消えていく。そこにはそれを携わる人たちが、苦しさの中でも、協力し合い、実行していこうとの姿がなくては続かない。

檜皮葺の工法についても同様である。300年以上もの間、自然の禍、人の不注意があれば守れなかったであろう建物が今も現存しているのは貴重である。ふつう、建物を建て守るには、木を切り、熱で金物やモノを加工して、自分たちの都合を優先して建築していく。消費を基本としている。だが、檜皮は森の生きている木の肌が十年ほどたつのを待って薄く剥ぎ取り、その皮を何枚も重ねて材料にする。短い檜皮は厚みを加える補助剤として活用し、75cmくらいの長い檜皮は一枚ずつ横に並べていき、竹クギを2cm間隔で打ち込んでいく。皮は長年で朽ちると土に返していく。

自然の循環型社会の考え方で徹底されている。自然素材の良さは、長年の風雨に遇いながら少しずつ朽ちていくととてもなめらかな曲線が見られ、一面のシートのような平らな表面となっていく。経る時間と共に美しさが増していくのは人の生き方にも何かを教えてくれているようだ。

龍蔵寺 上阪法山

檜皮葺(ひわだぶき):
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AA%9C%E7%9A%AE%E8%91%BA
http://www.kyobunka.or.jp/kaiho/index_10.html (リンク切れ)