地域の伝統を継ぐ 〜子ども達の狐がえり〜 -小枕発-

平成31年1月13日

一昔前までは、1月15日の小正月の前夜に、小学校の高学年から中学生の男の子ども達が、地域の家々から藁をもらって来て、何日もかけて山から掘り出して来た切り株(通称「かっくり」)を燃やす。あらかじめ切ってきた子どもの背丈の2〜3倍の2本の竹の先に、村の神社で作ってもらった御幣を差し込む。子ども達の手には、30cm〜40cmほどの竹の筒を持つと、いよいよ「狐狩り」(通称「狐がえり」)の準備が整う。今年は1月13日(日)にお宮さんや役員にお世話になり、準備が整えられた。

今年の口村では、中学2年生の寺田璃音さんを先頭に、小学4年生から中学2年生までの男女併せて6人の子ども達が勢揃いした。このころになると、燃やした藁は、すっかり切り株に燃え移り、松ヤニがゴーゴーと燃えさかり、真冬とはいえ炎の廻りは温かくなり、子ども達の頬は赤くなる。

家に着くと、竹筒を口に当て勢いよく吹くと「プー!」という音が夜空に鳴り響き、口上の文句を唄い始める。『我らはここらで何するぞ。山の神に雇われ狐狩りをするぞ!・・・・えーん、えーん、プー!(竹筒の音)』と唄って、40∼50軒ほどの家々の人びとの健康と安全を祈り厄払いをする。

小枕 西山